基板上ポルフィリン系分子構造体のナノスケールにおける観察と配置制御-非接触原子間力顕微鏡による高分解能観察

摘要

ナノテクノロジーの技術的進歩により,物質やデバイスを原子1個1個から任意に作り上げていくことも夢物語ではなくなった。 1992年にIBMの研究者がNi（110）表面にXe原子を並べて描いた原子文字りはまさにそれらが現実のものとなりつつあることを世間に知らしめた。 これらは一般に「ボトムアップストラクチャリング」と呼ばれる，ナノテクノロジーが描く未来像の1つである。 しかしながら。 現実の物質はきわめて膨大な数の原子から構成されておりこれらを1つ1つ並び替えて目的とする構造体を作り上げるには途方もない手間と時間がかかる。 この間題を解決するためにナノスケールの有機分子構造体が有する多様性や機能性　 特に自己組織化機能を利用しようとする試みが近年行われはじめている。