HSC3.0％は50,150円／klで決定算出フォーミュラ大幅に改定される

摘要

新日本石油が王子製紙と進めてきたHSC重油の4～6月分価格交渉が7月14日（金）決定した。 ここ最近のように期中決着とはならなかったが，その原因は，意外なことに価格算出フォーミュラが変更されたことにある。決着直後の現時点では詳しい分析には至らないが，需給双方が妥協点を巡って揉めたことをうかがわせる結果になっている。 とはいうものの，翌7～9月分仕切基準価格通告前の決着は維持された。 合意したS分3.0％の価格は50,150円／kl（支払いサイト60日，京浜湾内平水船持ち届けベース）。 前期から3,850円も上がり，昭和60年4～6月分の51,550円／kl以来という21年ぶりの5万円超えになった。推定コストに基づいた仕切基準価格からは350円安く決まった。 現時点で判明した価格算出方法の変更点は二つ。一つは原油からの生産品とボンドバンカーのブレンド比率を78％対22％へ変更したこと。従来の80％対20％に比べ，割安なボンドバンカーの比率が拡大した。 二つ目は，経費や金利なども全面的に見直したとみられること。 その結果，備蓄·防災費等とされてきた生産品経費が2,832円／klへ80円増額されたほか，ドパイ原油と採用原油の格差が拡大した一方，原油関連金利が大幅に圧縮されている。 新フォーミュラの内容はいずれ解明するつもりだが，今回は，原稿締め切り直前に予想外のルール変更を伴ったもののほぼ従来ルールで推定した合意価格をやや下回る水準で決定した4～6月分HSC重油を取り急ぎ紹介してみた。