都市ガスのパイプライン建設新規参入者も加わり拡大一途

摘要

最近，都市ガスのパイプライン建設や建設計画が目立っている。 東邦ガスが愛知県刈谷市と額田都幸田町を結ぶ約16kmの「三河幹線」を完成させたと思えば，大阪ガスが琴賀県草津市と同犬上郡多賀町を結ぶ約46㎞の「近畿幹線滋賀ライン」を完成させ，東京ガス，静岡ガス，帝国石油の3社も共同で静岡県富士市から御殿場市を結ぶ約31kmの「南富士幹線」を完成させた。 また，石油資源開発が「仙台·いわき間海底ガスパイプライン」建設計画を打ち出せば，東邦ガスと中部電力が「伊勢湾横断ガスパイプライン」を建設すると発表。 この中電と都市ガス会社との協力では，大阪ガスが同社と延長約46㎞の「三重～滋賀パイプライン」の建設に今年から入るなど，一部電力が関係しでいるとはいえ，都市ガスのパイプライン建設に関しては話題に事欠かない。 これはもちろん，自由化を背景としたエ業用等都市ガス大口需要家の増加と熾烈な需要家獲得競争があるからだ。 既存都市ガスの工業用ガス販売量は全国ベースで毎年二桁の増加を続けているし，新規参入分も加えると工業用大口供給ガス販売は前年比25％前後の増加を続けている。 エネルギー需要全体が伸び悩む中で，都市ガスエ業用大口だけは信じられないような勢いでシェアを拡大しているのだ。 当然，こうした傾向は今後も続くことが予想され，他燃料関係者にとっては看過できない事態。 石油資源開発の「仙台·いわき間海底ガスパイプライン」建設計画など陸上ではなく海上から福島県内のエ業用需要家獲得を目指すという全く意表を突く計画で，都市ガスの需要開拓は手法も多様化してきている。