関電の攻勢が続く中大阪ガスが新経営理念発表

摘要

大阪ガス（芝野博文社長）はこのはどグループの新しい経営理念「価値創造の経営一創業新世紀を迎えるに当たって一」を発表し，今年7月にはグループの経営体制を再編すること等を明らかにしたが，同社の厳しい経営環境，ひいては今後の都市ガス業界の厳しさを象徴して興味深い。 同社の今回の新しい経営理念の発表は同社が今年創業100周年を迎えるということもあるが，近年の経営環境の厳しさからこれまでのような都市ガス販売中心の経営ではいずれ行き詰まることを念頭に策定されたものといっていい。 というのは5年前の平成11年10月に策定したこれまでの経営理念「2010年ビジョン」での「お客さま価値，株主さま価値，社会価値の3つの価値の最大化の追求」を今後は「お客さま価値の最大化を第一」に改め，需要家志向→利益追求を明らかにすると同時に，今年7月のグループ経営再編では，これまでの中核会社をエネルギー事業と最大限のシナジーを追求する「基幹事業関連会社」と，非エネルギー手業を中心に独立してグループ外からのキャッシュインを追求し連結利益の貢献を目指す「戦略事業会社」に区分し，役割·位置付けに応じた事業展開を図っていくとして，非エネルギー事業分野を2木柱の一方の柱と格上げしているからだ。 つまり，これまでの悠長な目標ともいえる3つの価値の最大化などは止めて利益追求を前面に出し，都市ガス等エネルギーに直接関係しない事業への取り組みを強化していこうということ。 こうした新しい経営理念の策定→方向転換は，都市ガス業界の自由化の進展による新規参入の増加，競争激化が大いに影響していることはいうまでもないことで，都市ガス業界は現在関西の雄をさえも危機感に駆り立て始めている。