料金値下げと原油暴騰で大幅減益それでも4社が4月料金下げを表明

摘要

電力10社の17年度中間決算は，ほとんどで減収減益を余儀なくされた。 前年の猛暑の反動と電気料金の値下げ，燃料費の大幅な増大という「三重苦」が背景。 しかし，予想を上回る健闘ぶりをみせた電力需要が支えになって，10社で6,873億円の経常利益を，4,335億円の中間純利益をあげた。 10社の販売電力量は4,384億kWhで前年比100.1％と，前年割れを免れた。 当初の見通しを90億kWhも上回った。 各社の営業努力と自家発からの乗り換えがきいた。 売上高は7兆2,484億円で2.5％の減収。7月値下げの沖縄を除いた9社が，値上げ前と値下げ後の比較になるため，料金値下げの影響がストレートに出た。 経常利益は10社合計で6,873億円となり，1兆円の大台に乗った前年同期を34.6％（3,633億円）も下回った。1,827億円（17.5％）も増えた燃料費が，収益を圧迫させた。 税引前純利益は6,918億円（2,742億円＝28.4％減）へ縮小，当期純利益は4,335億円で前年同期を1,688億円（28.0％）も下回る大幅減益に終わった。 来年3月期の収支見通しでは，引き続き減収減益を余儀なくされるものの，1兆610億円の経常利益，6,617億円の当期純利益が確保されると想定されている。 また，東京電力，中部電力，関西電力，九州電力の4社が，来年4月の料金引き下げを表明した。 値下げのきっかけは原子力発電のバックエンド費用の単価縮小とされるが，4月値下げは輸入燃料価格がピークを付ける10～12月通関を前提にするため，値下げには高度なテクニックが求められているに違いない。