LPガス概算要求57億円増の348億円災害対策新規28億円，燃料電池96億円

摘要

政府·与党等行政の混乱を背景に例年に比べて1カ月遅い概算要求となったが，ようやく平成24年度概算要求が出揃った。しかし，23年度の第三次補正は，この原稿執筆段階ではまだ明らかにされておらず，とりわけLPガス予算では注目の的であるエネファームに対する補助がどのくらいになるのか，総体として詳らかではない。24年度の資源·エネルギー予算要求では96億円が計上されたが，7月初めに既に全額消化してしまったエネファーム86億円の補助は23年度予算増額により39億円が追加された。第三次補正でもどうやら30億円程度が計上されることになるようだ（本稿校正終了段階で詳細が判明したので，追記の形で掲載した）。別稿のとおり平成24年度の資源·エネルギー関連予算の概算要求が発表されたが，24年度は何といっても原子力事故からの復興，安全神話の吹っ飛んだ原子力に代わる再生可能エネルギーと分散型エネルギー，加えて円高等による産業空洞化に対する対策が中心となる。LPガスは熱と電気が供給でき，しかも分散型のエネルギーとしての優位性が，この不幸な大震災を体験してようやく国民や行政関係者にも認識され始めたようだ。LPガス関係概算要求は，石油流通課関連が総額348億円で前年度予算比57.6億円（19.8％）の大幅な増額要求となった。このほかに備蓄関連としてエネルギー特別会計借入による計上分が1,596億円となっている。従来の3Eに加えてS＝セキュリティ，しかも海外調達のセキュリティよりも災害時·緊急時の安定供給をいかに確保するかに今回概算要求の重点が置かれた。新規LPガス予算要求として新規「災害対策事業」に28.7億円が要求されたのがそれを示すもの。以下，主な内容を紹介する。