LPガス元売統合新会社晴れて誕生問題解消措置を公取委了承

摘要

公正取引委員会は1月7日，JX日鉱日石エネルギーと三井丸紅液化石油ガスが，そのLPガス事業を統合する件について，両当事会社から出されていた「企業結合計画に関する事前相談」に対する回答を発表した。それによると，両社の事業統合に関しては，ブロック単位での取引分野をみた場合，プロパンでは北海道ブロックで，ブタンでは東北ブロックでそれぞれ競争を制限するおそれがあるものの，当事会社から公取委に対して申し出のあった「問題解消措置が履行されるならば，本件統合により，一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならない」との判断を下した。これによりJXエネと三井丸紅液化は，予定どおり3月1日に新会社「ENEOSグローブ株式会社」を発足できることとなった。この発表は1月3日にも行われるとみられていたが，4日遅れての発表となった。「今週中（3～7日の間）に発表されないと，3月1日の統合新会社『ENEOSグニトーブ』の発足は難しくなるかもしれない」と当事会社幹部＝複数がその前日の日本LPガス協会の賀詞交歓会で危惧していたが，なんとか間に合ったようだ。本紙·誌では既に12月24日に新会社の社長·副社長（就任予定）の記者会見及びそこで公表された資料等をベースに，新会社「ENEOSグローブ」の姿を伝えた。この会見はその3日前の12月21日に公取委から「統合OK」との内示が出たことを受けて組まれたものではあったが，公取委の正式発表まではいろいろと独占禁止法に拘束される。したがって，新会社の組織構成とか基地等の統廃合，シナジー効果等を具体的に当事者が公にすることはできない。記者会見した松澤新社長·佐藤副社長·玉置副社長の会見も理念先行の，いわゆる「奥歯にモノのはさまった」言動に終始するしかなかった。公取委発表でようやく晴れて「独禁法クリア」。新会社の組織，具体的方針，社長·副社長以外の人事も順次明らかにされていくだろう。この点は追ってお知らせしていくことになるが，ここでは差し当たり，今回発表の公取委の回答の内容を，多少おこがましいが独禁法及び企業結合の運用指針等に沿ってコンメンタールすることで，統合劇の抱えていた問題性を明らかにしておきたいと思う。