産業部門での天然ガス志向くっきりエネ研がユーザーにアンケート調査

摘要

日本エネルギー経済研究所は，先日開催された資源エネルギー庁の「天然ガスの燃料転換·高度利用に関するワーキンググループ」第3国会合で，国内工業用ユーザー等を対象にした天然ガス利用についてのアンケート調査結果を明らかにした。「天然ガスの燃料転換·高度利用に関するワーキンググループ」は，本誌既報のように昨年6月に策定されたエネルギー基本計画で産業部門における「天然ガスシフト」が打ち出されたことから，「低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する検討会」が，昨年11月にガスのインフラ整備WGを設置したのと並行して設けていたもので，大口工業用ユーザー等によるプレゼンや天然ガス利用についての海外調査とともに，国内での天然ガス利用に関してアンケート調査を行うことを計画に乗せていた。結果はCO2削減の観点から大口工業用ユーザーでの天然ガス志向がはっきり現れ，同時に課題として天然ガス転換に当たっての初期投資費用の高さやガス導管インフラ整備の必要性が浮き彫りになった。また，LNG価格の値上がりで燃転によるコストの削減という当初の目的が達成できないでいるユーザーが多いことも明らかになった。これらの結果は3月に予定されているWGの報告とりまとめに反映される見通しだが，一方で初期投資費用低減のための補助金やリース制度の導入など国によるユーザーへの支援が今後行われるとして，果たしてどの程度の省エネ，省CO2につながるのか，定量的な予測が示されていないことにWGの委員から疑問が出されもした。省CO2政策の推進はいいとして，費用対効果を考えないと今後国の後押しが行き詰まりをみせるのではないかというわけだ。