100ドル以上の急落となったLPガス国際市場を検証する

摘要

サウジアラムコ社は1月31日，わが国の輸入関係社に対して，LPガスの2月CPをプロパン820ドル，ブタン810ドルとした旨，通知してきた。プロパンは前月比115ドル，ブタンは同110ドルのそれぞれ大幅下げとなった。プロパンは1月CPが市場最高値にまで昇り詰めたあと，6カ月ぶりの下げとなった。ブタンは2カ月連続の下げ。1月の国際LPガス市場は，北西ヨーロッパ（NWE）が北海の供給ショート問題と長期大寒波からともに解放されたほか，中東市場も供給が大幅に増加して需給が一気に軟化した。また，極東市場は日本·韓国の在庫水準が高かったことで，寒波到来にもかかわらず輸入手当てが少なかった。何よりも中国が原油処理量の急増により生産LPガスの供給が増加，12月以降の輸入が記録的低水準にとどまった。米国市場は，12月からLPガス需要はやや盛り返してきたものの依然として低水準を続けており，他の市場に比べての独歩安が続いた。そんなこんなで1月のLPガス市況は各市場で急落が続き，原油の高騰はあったものの「CPは大幅下げしかない！」という久々の買い手市場に転じた。後述するように，サウジアラムコはこの急落市況をほぼ忠実にフォローする形で2月CPを一気に下げた。エジプトの政情不安により，CP発表直前に原油が急騰し，先高観測が支配したためか，いつもよりCPの発表が遅れたところにサウジアラムコの迷いも感じられたが，まずはリーズナブルなCP決定となった。