ハリケーン後の米国石油市場は変わったか

摘要

2005年は異常気象の年だった。夏から初冬にかけて米国メキシコ湾岸を相次いで襲ったハリケーン。 そのハリケーンが12月になっても大西洋の米国沖でうろついている一方，米国北東部には大寒波が到来した。 北西ヨーロッパは11月下旬に大降雪に見舞われ凍死者が出たほか，雪による鉄道脱線事故も起こった。 12月半ばには今度は中央ヨーロッパ·東ヨーロッパに寒波。 幹線道路が雪のために寸断された。 日本もまた異常気象。12月の大降雪は史上初の規模となり，首都東京も平年より22日，昨年より18日早い初雪となり，19日には都心でも氷点下を記録した。 韓国·中国も大寒波で北京·上海·ソウルも最低気温がマイナス10℃を下回る日が続いていた。 モスクワでもマイナス4～5℃というのに，それを大きく下回る低気温だ。 赶膜摔膝膝辚暴`ン，冬は大寒波到来」と石油·エネルギー市場の攪乱要因には事欠かないが，この気候変動·市場変動に対応してエネルギーを安定的に供給していくことが，エネルギー産業にあっても政府の産業政策にあっても極めて重要な課題として急浮上してきた。 しかも，世界のエネルギー需要が米国·中国·インドなどで大幅な増加を続けている一方で，石油·天然ガス等の探鉱·開発投資は滞り当面供給に需要とミートするだけの伸びが見込まれない，という不安もあり，先行きのエネルギー需給はタイト化一途との感もある。 このことが異常気象に対する市場混乱を一層増幅することにつながっている。 ここでは昨年多発したハリケーンと米国石油市場の問題を整理しておきたい。