東邦ガスが「新中期経営計画」組織改正し更に需要開発等強化へ

摘要

新年度に入って大手都市ガスが次々に事業計画を発表したが，3大手都市ガスの中で東邦ガスは「新中期経営計画」と名付けた新しい事業目標を発表し，また，今後の見通しが最も明るいことから関係者の注目を集めている。 今後の見通しが最も明るいというのは，今後5年間のガス需要見通しが東京，大阪の両大手ともに年平均2.8％の伸びでしかないのに対して，東邦は5.0％とかなりの差を示しているからだ。 　 ここであらためて紹介するまでもなく，東邦ガスは名古屋を中心に三重，岐阜などで天然ガス供給を行っている業界第3位の都市ガス。 これまでは東京，大阪の両大手に隠れていかにも地味な目立たない存在だったが，昨年4月には隣接する関連の合同，岐阜，岡崎の3都市ガスを合併して一層体力を強化し，今年3月末の需要家数は210万1千件と，いつの間にか200万件の大台に乗っている。 　 しかも，同社で特筆すべきは工業用需要の多さで，同社の平成15年度ガス販売量26億67百万m~3（1万1千kcal）のうち，工業用は13億76百万m~3と実に51.6％を占めたのだ。 これは37.2％だった東京，48.1％だった大阪の両大手も及ばない高い比率で，いかに同社が工業用需要の開拓に力を入れ，成果を挙げているかを物語るもの。 ちなみに，15年度の同社の工業用ガス販売量の伸びは3都市ガス合併の効果もあって20.8％だった。 これまでどちらかというと東京，大阪の両大手都市ガスの動向にばかり気をとられていたが，この「第三の男」ならぬ業界第3位の動きにもエネルギー業界は今後注意を払わなければならないだろう。