タングステン酸ビスマス粒子の光触媒活性と励起電子寿命の相関

摘要

異なる結晶含有量のタングステン酸ビスマス（Bi_2WO_6）粒子を調製し，パルスレーザーをもちいるマイクロ秒時間分解赤外分光法によって光励起電子のダイナミクスを評価したところ，試料の結晶含有量と光励起電子寿命に相関がみられた．定常光照射下における有機物の酸化分解反応（1：水溶液中の酢酸分解反応，2：気相アセトアルデヒドの分解反応）をもちいて，光触媒活性におよぼす光励起電子寿命の影響を調べた．寿命がマイクロ秒よりも短い場合，いずれの反応の光触媒活性も無視できるほど小さかった．反応1では結晶含有量（すなわち光励起電子寿命）が，反応2では比表面積が活性支配因子であった．