硬X線光電子分光によるリチウムィオン電池の電極表面の解析

摘要

X線光電子分光法は固体表面の電子状態および組成を評価する手法として広く用いられ，MgあるいはAl Kα線をX線源とする装置が市販されている。 検出される光電子のエネルギーは入射X線エネルギーから束縛エネルギーおよび分光器特有の仕事関数を差し引いたものである．電子の平均自由行程はエネルギーと相関があり，入射X線エネルギーを制御することで深さ方向の情報を得ることが可能である．たとえば本誌では軟X線領域のシンクロトロン放射光を利用した表面かち数層までのX線光電子分光実験が於林により解説されている．高エネルギーのX線源を利用すればよりバルク内部の情報を得ることができ，取り出し角皮により深さ方向の制御も可能である．