研究者人生3分の1まで

摘要

早いもので私が研究を行うようになって10年が過ぎようとしています。 その間，一貫して均一系の反応の開発，特に錯体触媒に携わって参りました。 私のような企業の研究者が50歳まで実務に携わるとすると, その1/3が終わろうとしていることになります。 今回は恥ずかしながら，これまでの自分の研究者生活を少し振り返ってみたいと思います。 唐突ですが, 私は決して小さな頃から理科が好きで, 実験の授業が好きで，虫を集めたり機械いじりが好きというような,いわゆる理想的な研究者予備軍のチビッ子ぞはありませんでした。 理科は嫌い, 実験の授業はよく分からない。 虫がこわい，時計を分解しては元に戻せない。いわゆる新聞などを賑わす理科離れんた子供でした。 そんな理科嫌いだった子供が，今研究で収入を得ていることが自分でも不思議でなりません。