ロボットが変えるモノづくり：産業ロボットの最新情報－産業用知能ロボットによるロボットセル（機械加工および機械部品組立）

摘要

製造業の課題には、コスト競争に加え、製品の多様化による多品種変量生産への対応、リードタイム短縮、少子高齢化等による熟練作業者不足があり、いずれも早急に解決を迫られている。 組立分野については解決策の1つとして、いわゆるセル生産方式が注目されている。 これは一人あるいは小人数の多能工が製品の全部あるいはほとんど全てを作り上げるところに特徴があり、従来のベルトコンベア式に比べ作業者のモチベーションが高まり、生産性、品質とも良い結果が得られると言われている。 本稿でご紹介するのは、このセル生産方式に似ているが、多能工の代わりに知能ロボットが働くロボットセルである。 知能ロボットが多能工に代わって働くことができるほど、最近の知能ロボットの機能向上には目覚しいものがある。 これは、セル生産方式の良いところ、すなわち、①生産量に応じてセル単位で生産設備を増減できること②周辺機器や治具が簡素であり初期設備投資費が低いこと③生産する対象物が変更された場合でも短時間で対応できることを受け継ぎながら、さらに、知能ロボットによる長時間連続無人運転による工場経費の削減により海外の低賃金に基づく生産に負けない低コストの実現を可能としている。