変調伝達関数に基づく雑音残響に頑健な音声区間検出法帯域分割型SNR推定法の利用

摘要

これまでに提案されている音声区間検出（VAD）法は，静音環境や加法性雑音環境を想定していた．そのため，雑音残響環境におけるこれらのVAD法の性能は，雑音や残響により音声の特徴が歪むことで，検出性能が大きく低下する．本稿では，雑音残響環境において頑健で正確に音声·非音声区間を検出できるVAD法を提案する．提案法は，三つの処理で構成される．1番目の処理では，雑音残響音声パワーエンベロープの雑音成分を除去するために，信号対雑音比（SNR）を推定する．2番目の処理では，変調伝達関数の概念に基づきパワーエンベロープ上で雑音と残響を除去する．3番目の処理では，回復したパワーエンベロープに対して閾値処理を行うことで，音声·非音声の判別を行う．人工的·現実的な雑音残響環境におけるVADの評価実験を行った．その結果，提案法は従来法に比べ検出性能が著しく高いことが確認された．