小型移動式クレーンのリスクアセスメント手法について

摘要

リスクアセスメントとは，職場における潜在的な危険性又は有害性を見つけ出して，これを除去·低減するための手法です。従来，職場の労働災害防止対策の多くは，災害が発生してから，その原因を調査·分析して，類似災害の再発防止対策を確立して，それぞれの職場に徹底させることが基本でした。しかし，発生した災害の原因を究明するだけでは，発生していない災害に対する潜在的な危険性又は有害性は存在しているかもしれず，これらを放置していると，いつかは労働災害が発生する可能性があります。これからの安全対策の基本は，自主的に職場の潜在的な危険性又は有害性を洗い出して，事前に必要な対策を講ずることです。本稿では，リスクアセスメントに関する一般知識と，その考え方を適用した例として，「クレーン等のリスクアセスメント実施要領（日本クレーン協会規格JCAS0001-2010）」を参考にした「小型移動式クレーンのリスクアセスメント手法」について説明します。