大型樹脂グレージングの実用化に向けた射出成形材料の動向と成形加工のポイント

摘要

近年、地球温暖化防止や資源枯渇などをはじめとする地球環境問題の解決が急務となっており、各自動車メーカーは燃費の良い（CO_2排出量の少ない）ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車など、環境に配慮した車両の開発を精力的に行っている。このような背景の中、車体の軽量化はCO_2排出量の削減とともに燃費向上の効果が大きく、軽量化による燃費の改善は車両開発の基本的な課題と位置づけられている。自動車用ガラス部品の樹脂化（樹脂グレージング）に用いられるポリカーボネート（以降PC、比重：1.2g/cm~3）はガラス（比重：2.5g／cm~3）に比べ半分の比重であることから、樹脂グレージングの開発は軽量化への有効な手法として注目されている。樹脂グレージングが搭載された最近の代表例は、欧州では「シトロエンDS5」、「フィアット500Uのリアクオーターウインド、日本では「トヨタ／プリウスα」のパノラマルーフである。「プリウスα」に採用されたパノラマルーフは投影面積1.6m~2と現時点で世界最大の樹脂グレージング部材であり、同じサイズの無機ガラス製のものに比べ、約40％の軽量化を実現したことが報告されている。