無線LANにおける仮想無線インタフェースの詳細設計と実装

摘要

筆者らは，ユーザに場所や環境の変化を意識させることなく，専用ネットワークを持ち運ぶかのように，サービス特性に適した仮想的なネットワークをユーザの近くに局所的かつ継続的に構築することを可能とするモバイルネットワーク基盤，Bring Your Own Network （BYON）の検討を進めている．BYONの実現により，（1）特定のサービスだけは輻輳時においてもつながりやすさを維持する，（2）移動中または移送先においても，遠隔地で利用しているネットワーク環境を同等の使い勝手や品質，安全性で利用する，といったことが可能となる．本稿では，サービス毎に異なる仮想的な無線サービスエリアの動的構築と，無線サービスエリア間のシームレスな切り替えを可能にする仮想無線インタフェース（vRF-I/F）の詳細設計，および無線LAN基地局への実装方法を示す．また，開発した仮想化対応無線LAN基地局（vBS）を用いたvRF-I/F間ハンドオーバ実験の内容，およびvRF-I/F間ハンドオーバが65ms以内，かつフレームロスなく実現できることを示す．