Excel VBA（オープンソース）による地球科学データの処理--（3）侵食地形「燭台右（台湾）」の生成シミュレーションを例にして

摘要

本説では，「Excel VBA（オープンソース）による地球科学データの処理」のシリーズの第3回として，特異的な侵食地形の生成シミュレーションを試みた例を紹介した．本説が，Excel VBAによるプログラミングの事例としてのみならず，地球科学（特に地質学）分野の多様を現象担理観のためのモデル化と数値シミュレーション手法の普及に何らかの寄与ができれば幸いである. 自作のあるいはオープンソースのプログラムは，必要に応じて改良·拡張が比較的容易に可能な点が大きな長所の一つである．本説では，4．で述べたプログラムを5.·6．の事例のシミュレーションにも拡張的に利用した．さらに，今回のプログラムを様々に改良することが可能である．今後の利用のために上記プログラムについて改善した方が良いと思われる点としては，シミュレーションの進行と同時に時間ステップを画面表示すること，任意の時点でシミュレーションの一時停止·表示画面の保存を可能とすること，岩石の耐侵食強度パラメータの表現をより分かり易い形式（相対的に1，2，10，100など）に改変すること，岩石の種類とそのパラメータ値·初期値分布の設定作業のために分かり易いインターフェースを構築することなどがある．興味を持たれた読者には，他の侵食地形事例へのプログラムの拡張的応用とともに，様々なプログラムの改良を試みていただければ幸いである．