危険化学物質による環境汚染，その1--外因性内分泌撹乱物質（環境ホルモン）

摘要

地球環境の問題は，地球温暖化，オゾン層破壊，砂漠化，酸性雨などを含んでいるが，生物多様性の保護も重要な課題として認識されている。 地球上の生命の中でも，特に，ほ乳類の生体内の調節機構では，「神経」と「ホルモン」が重要な役割を演じている。 このようなことが理解されるようになったのは，今から約100年前の1902年である。 それまでは，「生体機能はすべて神経により調節されている」と考えられてきたが，英国の生理学者スターリングが，「セクレチン」という小腸粘膜で膵液の分泌を促す物質を発見し，神経以外にホルモンも生体調節機構を担っていると考えられるようになった。 人類はさまざまな人工化学物質を作りだし，現在これらの中で暮らしている。 化合物の中には，危険化学物質として，人間にとって有害な物質も含まれている。 これらの中で，人間を含む生物の体の中で，あたかもホルモン様の機能を有する物質は外因性内分泌撹乱物質（環境ホルモン）注）と呼ばれている。