無線通信技術のITS（高度道路交通システム）への応用研究

摘要

本稿では，無線通信を応用した高度道路交通システムの設計において，車両密度や車両間隔の正確な再現性が重要であることを考察した．また，正確な無線通信のシミュレーションを行うために利用可能な要素技術を紹介し，既存モデルを応用してシミュレーションをより現実に近づける工夫を幾つか紹介した．再現性が高いとされる既存の道路交通シミュレータを用いることで大域的な交通密度分布を再現し，車間距離の分布を現実の分布に近づけることで，車車間アドホック通信システムの性能に大きな影響を与える通信端末（車両）の分布を現実のものに近づけることで現実的なシミュレーションを行える．車車間通信などのアドホックネットワークシステムを用いるアプリケーションを設計する場合には，本稿で挙げたような現実の交通流に近い車両モビリティに基づくシミュレーションを用いてより正確な性能の見積もりを行うことが肝要である．