ドイツ高速鉄道ICE-3ケルン脱線事故(2)～なぜ車軸の検査周期は30万kmであったのか

摘要

ICE-3車軸は30万km走行時（約半年ごと）に検査が行われていたにもかかわらず，車軸の疲労破壊が発生した．この事故は，車軸の超音波探傷検査の検査期間が妥当であったのか，亀裂の検出可能な大きさ（深さ）はどの程度であり，検出できない深さの亀裂は30万kmの走行期間にどの程度進展するのか，など多くの課題を投げかけている．ドイツ鉄道ではICE-3初期には24万kmごとに超音波探傷を行うことになっていたが，ケルンの事故当時にはこの検査期間が30万kmに延伸されていた．何故24万kmが30万kmに延ばされたのか検察の調査対象になっているようである．事故により，この検査期間が6万kmに短縮されることになった．この期間短縮がどのような意味があるのか，これらの課題について検討した結果を報告する．