良い水田圃場を作る：耕深確保，すき込み，砕土性に優れたロータリ－一発耕うんで耕探確保，高精度播種

摘要

近年，福井県では，水稲や水田転作作物（大麦，大豆等）の作柄の年次変動が大きく不安定になっている。この原因として，異常とも言える気象の影響とともに，栽培管理上の要因のひとつとして，作物栽培の基本である耕うん作業が大きく関わっていると考えられる。 耕うん作業の現状は，作業能率を重視するあまり作業速度を速く，耕深を10～11mと浅くする（浅耕）傾向が強い。 さらに，浅耕でわら等のすき込み性が悪くなり，これを回避するため，わらを焼却する場合が多く見られる（1図）。これらのことは，作物の根の生育抑制や有機物不足等につながり，土づくりの障害となっている。 また，わらの焼却は，地球温暖化につながる二酸化炭素の排出と煙害をもたらすため，環境保全上も大きな問題である。 これに対し，指導指針として，ロータリ耕うん作業を0.25～0.3m/s（時速1km程度）でゆっくり行い，わら等のすき込みと耕深15cmを確保するよう推進しているが，生産者の取り組みは消極的である。 プラウの導入も効果的であるが，湿潤な条件での作業が困難なことや，新たな作業工程を伴うことになる。 そこで，生産者が許容できる作業速度を保ちながら，耕深の確保，わら·雑草等のすき込み性に優れた新たな耕うんロータリの開発に取り組んだ。 研究·開発は，小橋工業㈱と共同で行った。 その概要について紹介する。