農研機構における有機栽培技術·機械等の開発状況－汎用性が高い有機栽培体系を構築

摘要

我が国では消費者の安全志向や健康志向さらには環境保全に対する関心の高まりを背景に，有機農産物に対する需要は確実に増加している。しかし，消費者ニーズに対応した有機農産物の生産は十分に行われていないのが現状である。この理由の一つとして，日本のような温暖，多雨なアジアモンスーン気候条件下では病虫害や雑草害の発生リスクが高く·これらに対応した省力的で安定した有機栽培技術が確立していないことがあげられる。そこで，農業·食品産業技術総合研究機構（以下，「農研機構」という）では，有機農業の振興，拡大を技術的な側面から支援することを目標に，2008年度より有機栽培技術の総合的な開発研究をスタートさせた。また，2011年度から開始された農研機構の第3期中期目標期間（2011-2015年度）では，環境保全的で持続性の高い農業生産システムの構築に向けた技術開発の一環として，「有機農業の成立条件の科学的解明と栽培技術の体系化（有機農要体系プロジェクト）」に取り組んでいる。