三点比較式臭袋法の敷地境界線測定におけるバックグラウンド固有臭の影響について

摘要

悪臭防止法では平成7年の法改正において，嗅覚測定法を用いた臭気指数規制が導入され，特定悪臭物質による物質濃度規制から，臭気指数規制に切り替えが進んでいる。 臭気指数規制の特徴としては，人の嗅覚を用いて測定を行うため，住民の悪臭に対する被害感と一致しやすいこと，飲食店等の複合臭や，物質濃度規制の悪臭22項目以外の物質にも対応可能な点等が挙げられる。臭気指数規制には，第1号規制基準（敷地境界線の規制基準），第2号規制基準（気体排出口の規制基準），第3号規制基準（排出水の規制基準）の3つの規制基準がある。第1号規制基準（敷地境界線）の測定を行う場合，対象事業場から発生する臭質以外の臭気は採取しないようにサンプリングを行う。しかし，事業場の立地条件等のサンプリング状況によっては，どうしても周囲の環境からの臭気（バックグラウンド固有臭）の混入が避けられない場合がある。 赋魵菰嚵蠏袢·违ⅴ螗暴`ト調査」結果報告でも，「バックグラウンドの固有臭（他の工場，草，土，アスファルト，自動車排気ガス）の影響が避けられない場合どうすればよいのか」という疑問があげられており，現場での悩みのひとつとなっている。 そこで，敷地境界線の試料採取時に混入しやすい臭質である，排気ガス臭及び青草臭の環境試料としての臭気指数測定調査と，悪臭が混入した際の複合臭についての実験を行い，その結果からバックグラウンド固有臭の取り扱いについて検討した。