タイヤ用ガスバリア材料技術

摘要

近年，地球温暖化防止等の観点から車の燃費向上が世界的な課題として加速化する中，タイヤ業界においては低燃費タイヤの開発·商品化の動きが活発になっている．特に国内では2010年度に，共通指針によるグレーディングでタイヤの転がり抵抗（環境性能）とウェット制動（安全性能）をユーザーに示すための，タイヤのラベリング制度がスタートしており，一層の性能向上と幅広い商品展開が求められている．材料における低燃費化技術の中心はタイヤトレッドゴムへのシリカ配合技術であるが，横浜ゴム㈱では低燃費タイヤの性能を維持する目的で独自にインナーライナーに着目し，新素材の開発と商品展開を行ってきた．新素材は従来素材に比べてガスバリア性を飛躍的に高めたことにより高い空気圧保持性能を持ち，低燃費タイヤの性能を最大限発揮させると共に，その高いバリア性によって薄肉化が可能であり，軽量化効果によるさらなる燃費性能向上および省資源化を達成することができる．本稿ではタイヤ用の新素材として開発したガスバリア材料技術について概説する．