繁殖技術の進歩とともに発達してきた種雄牛の選抜法

摘要

わが国の乳牛改良は北米からの導入 育種の時代が長く続いた。しかし、人 ェ授精技術の普及とともに種雄牛の果 たす役割が高まり、種雄牛の選抜は後 代検定の時代を迎えた。明治時代に乳牛が導入されて以降、本 格的な種雄牛の選抜が行われるようになつためは1960年代になって人工授精が一般 化し、種雄牛の柒団への遺伝的貢献度が極 めて大きくなつてからである。自然交配の 下では1頭の種雄牛の貞献は多くても数百 頭までだが、人工授精（AI)では2桁多い 数万頭にも及ぶことがあるからである。雄 牛は牛乳を生産しないため直接その能力は 分からないので娘を生産し、娘の能力から 種雄牛を選抜する後代検定（以下、PTと 略す）が重要となった。わが国では牛群検 定の開始が先進国に遅れたこともあり、 PTへの転換も遅れた。それまでは北米か らの個体輸入が盛んに行われ、輸入依存体 質が改善されなかったことから乳牛改良を 、、導入育種、、と揶揄（やゆ）する研究者もみ られた。