東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科,〒113-8655東京都文京区本郷7-3-1, 腎臓内分泌内科医局;東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科,〒113-8655東京都文京区本郷7-3-1, 腎臓内分泌内科医局;東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科,〒113-8655東京都文京区本郷7-3-1, 腎臓内分泌内科医局

摘要

慢性腎臓病(CKD)の増悪因子として, 貧血と低酸素が 重要な働きをしている。CKDの合併症として腎性貧血がある一方で, 貧血それ 自体がCKDの増悪因子である。赤血球造血刺激因子製 剤(ESA)は腎臓に保護的と考えられるが, 議論もある。 ESAの過度の使用は, 脳梗塞などのリスクとなる可能性が あるので, 慎重な投与が必要である。また貧血とCKDは 心疾患との関連も深い。腎臓の低酸素により尿細管間質線維化が進行し, CKD が増悪するとの「慢性低酸素仮説」が提唱されており, そ れを支持する知見が集積しつつある。様々な機序で腎臓に 低酸素が起こると, 尿細管細胞のアポ卜一シスや線維芽細 胞の活性化が起こる。腎臓が低酸素に抵抗する機序とし て, Hypoxia-Inducible Factor (HiF)が重要な働きをする。 HIFは転写因子であり, その下流にはエリスロポエチンなど 低酸素に適応するための蛋白がある。HIFの作用をさらに 分析することで, 低酸素の新たな治療法が見つかるかもし れないと期待されている。