音響カメラを用いた大型クラゲ類（ェチゼンクラゲ， ビゼンクラゲ，ミズクラゲ）の分布および傘径計測手法

摘要

近年.口本各地からクラゲ類の大量出現に関する報告が多いl'、w。特に，通称で大型クラゲと呼ばれ傘径lm を超；cるェチセノクラVNemopilema nomurcnが,王に 日本海を中心に度々出現して".定置網漁業や底びき網 漁業に甚大な被害を与えてきた2)~4)。また，R本各地 の沿岸域に最も普通に見られ，傘佳30cm以上になるミ ズクラゲAurMa aurita s丄も各地で^所的に大量発生す ることが多くなり5),漁網への入網や発電所の取水口へ の詰まりなど大きな被害が多発している。さらに.13本 ではに有明海に生息し傘後50cm以上になるビゼンク ラゲRhopikma esculentumも大量に出現する傾向が続 いている。本種はかってより地元で食用に漁獲されて いたが.近年は中国の経済発展と食用クラゲ類の需要増 加を背景に.主に輸出用として漁獲量が急増しており 新たな漁業資源としての期待も高まっている。これらの クラゲ類の大量出現の原因としては環境の変化が有力な 要因と考えられているものの未だはつきりとは解明され ておらず.クラゲ類の分布や生態に関しては様々な調査 研究が進められている。ェチゼンクラゲやミズクラゲな ど有害なクラゲ類に関しては，大量出現による被害軽減 対策を検討するための基礎的知見として.これらのクラ ゲ類の空間分布を詳細に把握する必要がある。ビゼンク ラゲに関してもまだ生態に不明な点が多く ，無秩序な漁 獲による資源の枯渴も懸念されており.本種の資源量や 発生量を推定し漁況予測や漁獲規制を検討するためには, 現存量及び分布特性を把握しておく必要がある。クラゲ類の分布を調べる方法としては，手軽さや迅速 さからU視観察による調査法が一般的であり，ェチゼンクラゲに関しても調査船やフェリーを用いたy視観察によるモニタリング調査が多く実施されている7)'。しか しながら.天候，海況.海面反射や観測者の視力などの 違いにより発兒確率に差が生じるうえ.視認が可能な深 度も明確ではないため.観測結果の定量性に乏しい。さ らに,種によっては活発な鉛直移動もすることから.観 測時には海面付近のみに浮遊しているとも限らず，船上 からのB机観察だけで分布を正確に把握できない。