機械化後の経営予測に資する陸上作業時間の推定技法の検証北海道福島町におけるマコンブ養殖業の事例

摘要

1970年代まで手作業で行われていたマコンブ養殖業の 陸上作業に対して.1980年代に省力化、省人化を目的と した葉体洗浄機や乾燥機などが導入され，機械化が進め られた。この機械化は，省力化、省人化を目的としたも のであり.作業時間を大きく短縮させたが，一部の工程の機械化に伴う総作業時間の変化が経営に与える影響な ど，総合的な観点からの推定に基づいて進められたもの では必ずしもなかった。濱田ら》は，ホタテガイ養殖業 の事例に対して分析を行い，各工程の機械化に伴う作業 時間の評価だけでは経営への影響を十分に予測することが難しいことを指摘した。この指摘に加え，筆者は経営 に影響を与える要素として機械の導入費用のみでなく . 一日当たりの作業時間や生産量の変化にともない増減す る労賃などに着目した。機械が導入された作業そのもの については.機械の処理速度など能率を基準として作業時間変化の予測が可能であるが.1日当たりの総作業時間の変化については予測が困難なため，特に労賃の変化を十分に予測できないためである。従って省力化、省人 化と経営の改善を両立させるためには.機械化に伴う1 日当たりの経費と生産量の変化を推定しなければならない。