ズワイガニ保護区の保護効果と生物多様性

摘要

H本海におけるズワイガニ Chionoecetes opilioは.II 本海を環状にとりまく陸棚の縁辺部とH本海中央部の大 和堆の水深約200 500mの範囲に生息する"'2)。本種は 成熟後.分布水深が雌雄で異なり，水深260 300mより 浅い水深では雌が，それより深い水深では雄が.それぞ れ卓越し分布する"。日本海における漁獲量は，1970年に約16.000tのピ一 クに達した力、それ以降減少し，1992年には約2,000tを 下回った3>。1996年にT AC対象種となり.資源回復の取 り組みが行われている。しかし，漁獲量は近年回復傾向 にあるものの，2005年には約4,000tとピーク時の25%程度 にとどまり，より確実に資源を回復させる必要がある气 そこで.資源回復のための一つの手法として，ズワイガ 二が生息する海底に人工魚礁を用いた保護礁を設置し，その区域を「保護区」（以下.保護区）とし漁獲を防止するズワイガニ保護区の設置が1982年の京都府を皮切り に石川県，福井県，兵庫県および鳥取県で国の補助事業 として実施され5).現在29力所32,900haの保護区が造成 された。さらに，2007年から国が事業主体となるフロン ティア事業が創設され，その第1号として日本海西部海 域においてズワイガニ保護礁（以下，フロンティア保護 区）の造成が2007 14年の計画で，21力所，8,400haで 計画され4),現在10力所4,000haの保護区が造成されてい る。