高齢者における身体活動と睡眠との関連性-余暇活動,家庭内活動,仕事関連活動の視点から-

摘要

ヒトの睡眠は加齢に伴い変化し,高齢期では入眠障害, 中途覚醒,早朝覚醒などの不眠症状に悩まされる者の割合が増加する.Kim et al.の調査から,高齢者の約3 人に1人は,睡眠に対して何らかの問題を抱えているこ とが明らかになつている. 不良な睡眠（例：6時間未満もしくは8時間以上の睡眠時間や,30分以上の入眠潜時）は高い死亡リスク, 転倒リスク,身体的脆弱性,虚弱な認知機能と関 連するだけでなく,心理状態9'へも悪影響を与える. Okajima et alは,不眠を有する者は有しない者に比べ て,2年後のうつ病発症リスクが高いことを報告してい る.このように睡眠の問題を抱えることは,心身の健康 を害する危険性を高める恐れがある.