火星移住と合成生物学(前編)

摘要

地球上の生命の繁栄と進化は,私たちホモ?サピエンスを生み出し. 20世紀には月にまで到達する知性と技術をもたらした.21世紀を迎えた私たち人類はおそらく今世紀の半ばまでに太陽系-第4惑星の「火星」への到達を果たすであろう.しかしながら火星は地球から平均2億2500万キロも離れており,その距離は月までの平均距離のじつに約585倍である.さらに火星の重力の影響により(地球の0.38倍).いったん着陸してしまえば,離脱に必要な発射台とロケットおよび燃料がない限り,火星から帰還することは不可能である.したがって有人月探査とは異なり,有人火星探査は最初から片道切符を想定したミッションとなる.我々が惑星をかける種 (interplanetary species)になれるかどうか,それは来る有人火星探査,ひいては長期的な火星移住計画の成功の可否にかかっているのである.