火山ガスの放出は地球内部からの脱ガスの主要径路であり、大気や海洋も究極的な起源は、火山ガスとして放出された揮発性物質が地表条件下での岩石等との反応にょり生じたものである。現在の大気や海洋の組成は、長い地球の歴史で放出された火山ガスが蓄積された結果であるため、現在の火山ガスの放出が大気や海洋に直接的に大きな変動を及ぼすことは少ないが、大規模な放出は短時間もしくは局所的には有意な変動を引き起こすことがあり得る。例えば、1991年フイリピン、ピナツボ火山の噴火は最近100年間で最大級の爆発的な噴火であるが、この噴火にょり直接成層圏まで達した大量のSO2が、硫酸エアロゾルとなり地表に達する太陽光を減少させたために、全球平均気温が0.5℃低下したことが知られている(McCormick et al., 1995)。また、日本でも東京都三宅島において2000年噴火後に始まった大量の火山ガス放出にょり、居住区域でも高濃度のSO2が観測され、環境基準を満たさないために数年間にわたり全島避難が継続する事態が生じた。本稿では、様々な形で大気環境に影響を及ぼし得る火山ガスの放出に関し、火山ガスの起源?測定法?放出の実態を紹介する。
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