微細穿孔板による吸音とその応用

摘要

高度な音響空間における響きの長さの調整から,一般諸室における音声明瞭度の向上に至るまで,吸音材は室内音響調整の様々な場面において用いられる。従来,吸音材の主役はグラスウールに代表される繊維系多孔質材であった。しかし,建築デザインの多様性,耐久性,健康配慮など音響性能以外の要望から,繊維系多孔質によらない代替吸音材の模索が始まり,次世代吸音材として提案されたのが,微細穿孔板吸音体(microperforated panel absprber:MPP)である。本稿では, MPPに内在するいくつかの問題点を克服して実用化に貢献している近年の応用研究を中心に紹介する。