長岡プロジェクトからみた二酸化炭素地中貯留技術の現状と課題

摘要

二酸化炭素（CO2）地中貯留は，再生可能エネルギ－の利用，燃料消費効率の改善および燃料転換といった他の緩和策とともに，効果的な地球湿暖化対策技術として注目されている。 70年代後半から米国やカナダで盛んに行われてきたCO2－EOR（EnhancedOilRecovery）による石油増進回収法がCO2地中貯留の基礎となっている。 CO2－EORは生産性が低下した油田にCO2を庄入し，石油の粘性を低下させて増進回収をはかる手法で，CO2庄入から貯留層モニタリングまで多くの関連技術が地中貯留に適用可能である。 このため，現在商業規模のCO2貯留サイトであるSleipner（ノルウェ－），Weyburn（カナダ）およびInSalah（アルジェリア）がともに大手石油企業によって操業されている（IPCC，2005）。 新技術の導入は社会に広く受け入れてもらうこと（社会的受容性）が重要で，地中貯留では長期間にわたって安全にCO2を貯留できることが求められている。 地中貯留の長期安全性を確保するためには，地下深部に庄人されたCO2の挙動を把握する必要がある。このため，現在操業中の大規模地中貯留のほかに，地中のCO2挙動を詳しく観測するための研究ベースの庄入プロジェクトも行われている（Hovorkaefαg．，2005；欄瀬ほか，2008；Sharmaefαg．，2008）。 このような取り組みはCO2地中貯留が社会的受容を得るために重要な役割をもつ。