連載空き家が増える都市と郊外なぜ？どうする？《第3回》地方都市の空き家問題をどうとらえるべきか-宇都宮市の事例から-

摘要

今年4月まで筆者は栃木県の宇都宮市に居住し、宇都宮 市をフィールドに研究を行ってきた。昨今の空き家増加に 関する議論が、大都市圏を中心に展開されている状況に、 いささか違和感を覚えていた。確かに、今後10年、20年の 間に大都市圏郊外において空き家が大量に発生することに よる諸問題 (以下、空き家問題)がー気に噴出することは ほぼ間違いない。その傾向がすでに表れ始めている地域も あるはずだ。しかし地方都市は、大都市圏とはまた違った 次元の問題を抱えている。それは家屋の倒壊による人命を 脅かすような事態ではない。空き家が増加し地域ィメージ が悪化することでもない。都市の持続可能性を揺るがす重 大な問題が、地方の空き家問題には横たわっている。