2011年7月に韓国ソウル特別市，春川市で発生した土砂災害

摘要

2011年7月26～27日にかけて大韓民国北部は発達した前線による豪雨に見舞われ，ソウル特別市では2日間で470mmに達し，7月としては観測史上最高を記録した（韓国気象庁）。ソウル特別市を東西に流れる漢江の南，江南中心部に位置する瑞草区（ソチョグ）の牛眠山（ウミョンサン，標高293m）では7月27日午前に複数の山腹斜面において表層崩壊が多発し，それらの崩土が土石流となって麓の道路とアパート群，宅地などを襲い，23名に及ぶ犠牲者を出す土砂災害が発生した。また，ソウル特別市から北東約80m人離れた江原道春川市（カンウォンド·チュンチョンシ）昭陽江（ソヤンガン）ダム付近の馬蹟山（マジョクサン，標高610m）においても斜面崩壊·土石流が発生し，麓のペンションや民家5棟が全壊·半壊し，ボランティア活動のために宿泊中だった仁荷（インハ）大学の学生13名が犠牲となった。筆者らは，2011年11月19日（土）～23日（水）にかけて牛眠山と馬蹟山の被災地（図一1）を視察する機会を得たので以下に災害の概要，災害をもたらした土砂移動現象などについて報告する。