北松型地すべりとしての佐世保市?五蔵岳北面の地すべり地形と平山地すべり

摘要

長崎県北部には中新世前期の石炭層を挟在する砂岩?頁岩層（佐世保層群世知原層?福井層）を中新世後期－鮮新世の北松浦玄武岩類が厚く覆って，玄武岩台地を形成している。さらにその周縁部には大規模な地すべり地形が広く分布している。佐世保市吉井町の五蔵岳から妙観寺峠を経て吉井町高峯そして韮岳にかけても，山頂部に玄武岩台地起源の緩やかな小起伏面が分布し，その北縁が比高70～220mの急崖で限られている。その急崖前面には，凹凸のある丘陵状の地形が広がっていることから，佐々川の下刻に伴う河谷の形成に伴って玄武岩台地が地すべり変位を受けてきたことを示している。その一つが佐世保市吉井町?五蔵岳北面の地すべり地形である（写真－1，口絵－1）。