光衛星間通信実験衛星(OICETS)による軌道上光衛星間通信実験

摘要

レーザ光を用いた宇宙空間における通信は，電波による通信システムと比べて通信用アンテナの小口径化が可能であり，レーザ光のビーム拡がり角が狭いことにより自由空間伝搬損が少なく，光の広帯域性も併せて利用すれば小型·軽量で高速大容量の通信機器を実現することが可能である．そのため，将来の宇宙通信網，特に衛星－衛星間の高速大容量通信の中核を担う技術として注目されている．しかしながら，衛星－衛星間では数万kmに及ぶ距乾を空間伝搬することになり，高精度の光学機器および狭レーザ光による高精度な追尾·指向技術等が必要である．そのため，地上の光ファイバ通信と異なる技術課題が多く，期待されながらも実用化に至っていないのが現状である．本稿では，宇宙航空研究開発機構(JAXA）が2005年8月に軌道上へ打ち上げ，衛星間の光通信実験を行った光衛星間通信実験衛星(OICETS: Optical Inter-orbit Communications Engineering Test Satellite)の概要および軌道上で実施した光衛星間通信実験の結果について述べる．