ユビキタスの3層モデルと人間中心設計－人間中心のユビキタス社会の実現に向けて

摘要

「ユビキタス」とは「どこにでもある」という意味のラテン語由来の言葉であり，「ユビキタス社会」，「ユビキタスネットワーク」，「ユビキタスコンピュータ」等，さまざまな言葉と結びついて用いられている．これらは一見同じことを表わしているようで，その実，さまざまな文脈で使われており，専門家の間でも異なった意味で用いられるためにしばしば議論がかみ合わず，その実体はわかりにくい．「ユビキタス」という言葉が最初に用いられたのは，Weiserにおいてである．石井はWeiserが自らの思想に対する言葉のラベル付けが不適切であったと指摘しており，このラベル付けの失敗がこのような混乱を招いていると考えられる．そこで本稿では，まずユビキタスの使われている文脈について整理し，その中でユビキタス社会の中での製品·サービスの設計の問題点と指針のいくつかを取り上げていくことにする．