低温焼結NiCuZnフェライト材料の開発と積層型チップフェライトの高性能化に関する研究

摘要

積層型チップフェライト部品用のフェライト材料開発及びチシプ部品の高特性化に関する研究を行ったきた。 その結果,下記の結論を得た。 （1）NiCuZnフェライトの磁気特性は組成依存性が高いが,低温焼結のために出来るだはCuO量を増加することで低温焼結化が図られた.（2）仮焼後のNiCuZnフェライトを微粉子化することで顕著な低温焼結化が図られた.（3）仮焼温度を低温で行い（700℃）微粒子化にすることで,900℃以下の焼成温度で緻密なNiCuZnフェライトが得られた。 （4）低温焼結NiCuZnフェライトの磁気特性の高性能化は,最適な調製条件を選び組成均一な微細構造を図ることが重要である.（5）低温焼結NiCuZnフェライトの粉砕粒子中に混在する粗粒子は,低温焼結を顕著に阻害する.（6）積層型チップフェライトの電磁気特阻特にインダタタンスは,Ag内部電極からの応力によって大きく左右される.（7）Ag内都電極層とフェライト層の問に空隙を形成することでAg内部電極からの応力を抑制することが出来た。（8）Ag内部電極からフェライト中に拡散するAgは,NiCuZnフェライト中の不純物（S及びCl）との反応で引き起こされる.（9）拡散Agはフェライトに応力を与え,積層型チップフェライトの磁気特性劣化を起こす。（10）微細構造解析の結果,AgとCuO_(1-x)がNiCuZnフェライトの粒界上に存在し,フェライトにストレスを与え結晶格子までも歪ませ,磁気特性を劣化きせていた.(11）フェライト粒界上のCuO_(1-x)は,フェライトの粉砕中に発生するFeコンタミネーションとフェライトの酸化還元反応によって引き起こされていた。（12）Feコンタミネーションが起こりにくい粉砕条件を選ぶごとでフェライト粒界上に観察される干渉縞が抑制され,積層型チップフェライト部品の電磁気特性が向上した.