耐熱材料の開発の現状と展望：連続繊維強化型セラミック複合材料の現状と展望

摘要

セラミックスは，高温まで高強度を有し，酸化性雰囲気においても強度を保持できる材料であるが，脆いことが欠点とされている．この問題点を克服し，高靭性を有するセラミック基複合材料(Ceramic Matrix Composite，CMC)が登場した．CMCは，一般的には，セラミックスを基（マトリックス）として，連続繊維，短繊維，ウイスカおよび粒子等で強化された複合材料のことである．CMCにおいて，炭化ケイ素(SiC)系などのセラミック連続繊維でセラミックスを強化した連続繊維強化セラミック複合材料(Continuous Fiber-Reinforced Ceramic Composite，CFCC)の研究開発が，1980年代後半から活発に行われ始めた．その発展は，強化材として，有機ケイ素ポリマーを出発物質として作られるSiC系連続繊維の漸進的な開発によることが大きい．この繊維は，直径約10μmのしなやかなもので，2次元や3次元など各種の形態の織物に製織され，その織物が強化材として用いられる．このようなSiC系繊維織物で強化されたCFCCは軽量で，高靭性，高比強度を有しており，最近では高温構造材料として位置付けられつつあり，ガスタービン用材料や宇宙航空用材料として期待されている．本稿では，SiC系連続繊維の発展過程を通してCFCCの現状と展望について述べる．