精密高周波焼入れ--高周波焼入れの概念を覆す高強度,高信頼性焼入れ法

摘要

富士電子工業（株）においては高周波焼入れを理想的な表面硬化法と捉え,それを着々と実現してきた。 例えば歯車の高周波焼入品は一般には両端を逃がして焼入れされている。 これは端部まで焼きを入れると割れ，歪の危険があるためで,製品仕様さえ焼き逃げを指定しているところが多い。 当社はこのような妥協に我慢ができず，理想的な両端きでフラットな焼入れを割れも歪もなく実施している。 しかも単に良品を作るだけでなく，現在低い現実レベルに妥協されている顧客の仕様を本来あるべき姿に戻して軽量化,コストダウンに寄与しようと努力している。 一般の常識とやや異なるためか，なかなか推進は困難なところもあるが，理想に向って進んでいく積りである。 このことが，高周波焼入れ業界全体のレベルを上げ，高周波焼き入れの必要性がますます拡がり，ひいては熱処理工業界に大きく寄与できることと信じている。