鋳造工場におけるアーク式取鍋加熱装置の導入による省エネ対策

摘要

鋳造工場では，金属を溶かす溶解炉から鋳型を造る造型ラインへ「取鍋（とりべ）」と呼ばれる耐火容器を用いて溶けた金属（溶湯）を運搬し，鋳型に溶けた金属を流し込む注湯の工程を経て，製品（鋳物）を取り出し出荷している。取鍋の予熱作業では，通常ガスバーナーが用いられるが，有効熱量の割合は8％に留まり，特に排気による熱損失が85％と大きく，膨大なエネルギーロス発生が課題であった。また，取鍋のメンテナンス時には，取鍋の耐火物を張り替え，耐火物の強度を向上させるために乾燥を行うが，ガスバーナーでは取鍋内部温度のばらつきが大きく，予熱時と同様のロスが生じていた。そこで，省エネ化と作業環境の改善を実現するため，各種加熱方式の中で熱源温度が最も高く，加熱性能や温度制御性で優位性が見込まれるアーク加熱を選定し，取鍋加熱装置の開発およびその装置の水平展開を目指すこととした。