GC／NICI－QMSによるPCB分析の新しいアプローチ

摘要

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、不燃性、絶縁性 が良いなど、化学的に安定した性質をもっている ことから電気絶縁油として過去に広く使用されて きた。しかしながら、昭和43年にカネミ油症事 件が発生した後、その毒性が社会問題化し、昭和 47年には日本においてのPCBの生産·使用が中 止された。国際的には、残留性有機汚染物質に関 するストックホルム条約（POPs条約）が採択され、 PCBの削減、廃絶に向け処理が進められている。 日本においては、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の 適正な処理の推進に関する特別措置法」のもと、 その処理が進められているのが現状である。処理 を行う上で、トランスやコンデンサの絶縁油中に PCBが含まれているかどうかの確認が求められ るが、確認が必要なトランスは膨大な数となる（表1）。