イメージから創造へ―新たな二ワを創る その9：北海道の農林の景観とそこでの住空間づくり

摘要

「北海道は日本ではない」と多くの観光客はいう。 確かに，町並みや農地や森林は，府県とは違う。 中でももっとも身近で大きな面積を占める農地は，北海道のおおらかで開放的なイメージを形作る重要な要素といえる。 この北海道の農地は明治中期に採用された殖民区画を骨格としている。それが北海道の農村景観の骨格を形成したことはよく知られている。 北海道では，開拓以来，入殖民の定着を促すうえで，農業生産性の向上が強く求められた。 その過程で，収奪的農業や土地選定による失敗を経験し，計画的な農地開拓や土地利用が展開きれた。 圃場の方形区画や規則的に配置された防風林や用排水路からなる，人間の意志を顕現した幾何学的な造景的景観には，北海道における農地開発や営農形態の文化的・歴史的過程が反映されている。