鍼灸の教育·研究と制度をどうするか日本の鍼灸学を構築するために何が求められているか？

摘要

鍼灸の特質と現代医療の中での役割を議論することが教育·研究と制度をどうすべきかについての展望を開いてくれると考えます。 現代医学と鍼灸の違いは現代医学が病気の診断とそれに基づく治療－「医者の病気」－を中心に考えぞいるのに対して、鍼灸は患者が何とかして欲しいと感じている症状－「患者の病気」一に対応することに力を注ぐことにあります。この鍼灸の特質は現状の現代医学が対応出来ない領域に活躍の場を生み出します。まだ病気に至っていない生体機能の偏位を元に復する領域です。 現代医学では常に局所病変を探そうとしますので、この観点を十分に持ち得ません。 この違いが鍼灸に広範囲な活用の場を提供します。例えば、日常生活活動で生じている様々な症状に対する鍼灸がこれに相当し、体調管理や介護予防、スポーツ選手のコンディショニングなど多岐にわたります。