新産業創造物質基盤技術センター

摘要

本研究分野では，ミクロ組織の熱力学に立脚した相安定性や組織制御についての研究活動を通しで新材料の開発を行っている．2006年の研究活動は，以下のように概括される．1996年，Ni_2MnGa系強磁性形状記憶合金において初めて磁場により誘起される歪（双晶磁歪）が報告され現在では9％もの双晶磁歪が実現されている．しかしながら，従来の強磁性形状記憶合金では，数MPa程度の応力しか発生せず，原理的に高出力を得る事に限界がある．我々は，最近新しく見出したNi－Mn－X（X：In, Sn）系強磁性形状記憶合金において，非常に興味ある現象を確認した．図1は，我々が開発した浦CoMnIn合金の熱磁化曲線と磁化曲線を示している．この合金は，形状記憶合金であると同時に，強磁性母相から反強磁性的なM相へと変態することがわかった．